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外国人採用の進め方とは?|基本知識・注意点・雇用スケジュールとEOR活用モデルまで解説
雇用主記録

著者
Deel Team
最終更新日
24 10月, 2025

外国人採用が注目される背景とは
国内の採用難が深刻化するなかで、外国人材の採用は企業にとって現実的な選択肢となりつつあります。
特に、国内市場だけでは人材を確保できなかった企業にとっては、即戦力となる高度人材を採用できる手段として注目されています。
制度の整備や雇用モデルも進化し、外国人雇用に対するハードルが以前より低くなっている点も、関心が高まる要因です。
外国人採用が注目される理由を「採用意識の変化」「制度の整備」「人材確保競争」という3つの視点から整理します。
企業の採用意識と外国人雇用の広がり
人材不足が慢性化する業界では、外国人材の受け入れが加速しています。
宿泊業・飲食業・建設業・介護業などでは、特に人手の確保が困難となっており、制度を活用した採用計画を立てる企業は増加傾向です。
これまで以上に外国人採用へ前向きになる動きとして、次のような傾向が見られます。
- 社内で外国人雇用に対する理解が進んでいる
- 採用の対象を国内に限定しない方針に変化している
- 多様な文化背景を受け入れる体制づくりが進んでいる
社内の理解や受け入れ体制の整備が進むことで、組織の成長や国際競争力の向上にもつながると評価されています。
制度の整備と「特定技能」制度への関心
2019年の入管法改正によって、外国人材の就労が認められる分野が拡大しました。
特に「特定技能1号」では、次の14分野で受け入れが可能となっています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
出典:出入国在留管理庁|特定技能外国人受け入れる際のポイント
特定技能制度の活用により、従来の制度では対応できなかった職種にも柔軟に対応できるようになりました。
一方で、受け入れ時には次のような課題も指摘されています。
- 制度に関する情報の整理不足
- 書類手続きの煩雑さ
- 法改正への対応負担
制度の変化や実務上の複雑さに対応するためには、常に最新の情報を把握し、外部支援を視野に入れた体制づくりが求められます。
人材確保競争と企業の準備の重要性
優秀な外国人材を採用するには、企業側にも明確な準備が欠かせません。アジア圏を含む送り出し国においても人材不足が進んでおり、候補者の争奪は激しさを増しています。
外国人材の採用を円滑に進めるためには、事前に整えておきたい準備があります。
- 外国人材が働きやすい就業環境の整備
- 将来像を提示できるキャリア設計の明示
- 在留資格の取得や更新に関する支援体制
- 労務管理や法令順守に関する正しい知識の確保
採用から就労後のフォローまでを見据えた体制づくりには、制度に精通した外部パートナーとの連携も有効です。
外国人を採用するメリットとデメリット
外国人材の採用は、採用難への対応や組織の活性化といった観点から注目されています。
ただし、文化や制度面での違いを理解せずに採用を進めると、トラブルにつながることもあります。
採用を検討するにあたっては、メリットだけでなく想定されるデメリットも踏まえたうえで、体制を整えておくことが重要です。
外国人採用のメリット
外国人材を迎え入れることで得られる代表的なメリットは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 若年層の採用 | 年齢構成のバランスが見直され、組織の若返りを図りやすくなる |
| 地方での採用強化 | 都市部以外でも応募が集まりやすく、エリアを問わない人材確保が可能になる |
| 支援制度の活用 | 助成金や補助制度を活用することで、採用コストを抑えられる |
| 多言語対応 | 訪日観光客対応や海外展開を見据えた業務に貢献できる人材を確保できる |
| 組織の多様化 | 異文化との共存により、柔軟な企業風土の構築やイノベーションの促進につながる |
| 従業員満足度の向上 | 勤務地や働き方の柔軟性を提供することで、従業員の満足度や定着率を高められる |
外国人採用のデメリット
受け入れに際しては、実務面や制度面で注意すべきデメリットも存在します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社内理解の促進 | 宗教・文化への配慮が求められ、社員への事前説明や対応が必要になる |
| コミュニケーション | 言語や価値観の違いにより、連携や意思疎通に時間がかかることがある |
| 手続きの煩雑さ | 渡航・在留関連の準備や申請に手間がかかり、入社までの期間も長くなりがち |
| 制度理解の必要性 | 雇用契約や労務管理に関して、法的・制度的な知識を持つ必要がある |
| 定着支援の体制 | 入社後の不安軽減に向けたサポート窓口や生活支援体制の整備が重要になる |
外国人採用は即戦力人材の獲得手段として有効ですが、適切な準備や理解を欠くとトラブルの原因にもなります。
制度や文化に対する知識を深め、社内の体制を整えることが、円滑な受け入れと長期的な活躍につながります。
外国人採用を始める前に押さえておきたい基本
外国人材の採用においては、雇用条件の確認、法令遵守、待遇の適正化といった基本事項を押さえる必要があります。
採用後のトラブルを防ぐためにも、採用前の知識と社内体制の整備が重要です。
雇用可能な外国人の条件を確認する
外国人であれば誰でも雇用できるわけではなく、就労資格の確認が不可欠です。
採用対象者が業務に従事できる在留資格を持っているかどうかは、「就労資格の有無」「業務内容の適合性」「在留カードの有効期限」「活動内容の一致」といった観点から判断します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 就労資格の有無 | 在留カードに「就労可能」の記載があるか |
| 業務内容の適合性 | 就労資格で許可された範囲の業務かどうか |
| 在留カードの有効期限 | 在留期限が切れていないか |
| 活動内容の一致 | 実際の業務が在留資格に定められた活動と一致しているかどうか |
雇用ルールを守らなければ企業も罰則対象となる
外国人労働者に対しても、日本人と同様に労働関係法令が適用されます。
法令違反が発覚した場合、企業には重大な責任が発生します。
- 不法就労助長罪に問われる可能性がある
- 労働基準法や最低賃金法違反により是正勧告の対象となる
- 行政処分や刑事罰を受けることで、企業の信用が損なわれる
- 採用活動や取引関係に悪影響が生じる恐れがある
待遇は日本人と同等でなければならない
給与や福利厚生について、外国人労働者を差別的に扱うことは法律で禁止されています。
企業が守るべき待遇基準
| 対応項目 | 内容 |
|---|---|
| 同一労働同一賃金の原則 | 業務内容が同じであれば、日本人と同じ賃金・待遇を提供する必要がある |
| 労働時間や休日の適用 | 労働基準法に基づき、適切な労働時間・休暇を設定する |
| 最低賃金の順守 | 地域ごとの最低賃金を下回る条件では雇用できない |
| 在留資格の更新への影響 | 不適切な待遇条件は、在留資格の更新・延長が認められない可能性がある |
外国人雇用に必要な期間は?採用までのスケジュール
外国人を雇用する際は、在留資格の種類や候補者の居住地によって、採用から入社までに要する期間が異なります。
特に海外在住者を採用する場合は、渡航準備や審査の混雑などでスケジュールが長引くこともあるため、計画時点での把握が欠かせません。
通常の採用プロセスは数か月単位の準備が必要ですが、EORを導入することで現地法人の設立や複雑な手続きを省略できます。
場合によっては数日で雇用を開始することも可能です。
日本国内の在留外国人を採用する場合
国内在住の外国人はすでに在留資格を持っているため、手続きが比較的シンプルで、採用から入社までの期間も短縮しやすい傾向があります。
| 在留資格の種類 | 求人開始〜内定 | 手続き〜入社 | 採用開始から入社までの合計期間 |
|---|---|---|---|
| 特定技能 | 約1〜2カ月 | 約3.5カ月 | 約4.5〜5.5カ月 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 約1〜3カ月 | 約2〜2.5カ月 | 約3〜5.5カ月 |
※現在の在留資格で予定業務に従事できる場合は、資格変更手続きが不要なケースもあります。
海外在住の外国人を採用する場合
海外在住者の採用では、在留資格の新規申請や渡航手続きに時間を要し、全体のリードタイムが長くなります。
| 在留資格の種類 | 求人開始〜内定 | 手続き〜入社(申請・渡航準備含む) | 採用開始から入社までの合計期間 |
|---|---|---|---|
| 特定技能 | 約1〜2カ月 | 約4カ月 | 約5〜6カ月 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 約1〜3カ月 | 約4カ月 | 約5〜7カ月 |
手続きにかかる日数の目安と留意点
在留資格ごとに、申請から許可までの処理日数は異なります。
繁忙期にはさらに日数を要するため、早めの準備が必要です。
| 在留資格の種類 | 手続きの種類 | 処理期間の目安(変更申請の場合) |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 在留資格変更 | 約25日〜35日 |
| 特定技能1号 | 在留資格変更 | 約38日〜56日 |
※不許可対応や追加資料提出を求められる場合もあるため、スケジュールには余裕をもたせておくことが重要です。
deelで実現する外国人採用ステップ|EOR活用モデル
deelは、現地法人を設立せずに外国人を雇用できるEOR(雇用代行)サービスです。
採用候補者の選定は企業が自由に行い、契約・労務・給与まわりをdeelが一括支援することで、スピードと法令順守を両立できます。
日本市場ではEOR分野で高いシェアを持ち、グローバルなハイクラス人材の採用に多く活用されています。
さらに、EORでは法的責任をdeelが担い、業務管理は企業が行う仕組みです。
deelは、統合プラットフォームにより勤務地を問わず統一した従業員体験を提供し、法改正も自動反映されるため、継続的なコンプライアンスを実現します。
採用候補者の選定と募集チャネル構築
採用対象者の募集は、企業の裁量で自由に実施できます。deelでは、人材紹介サービスは提供していませんが、提携パートナーを通じて候補者と出会える仕組みを整えています。
主な特徴:
- 求人媒体や紹介会社など、既存チャネルをそのまま活用可能
- 高度人材(エンジニア・マネジメント層など)への対応も柔軟
- 採用方針に応じてチャネル設計をカスタマイズできる
EOR契約の作成と運用設計(契約プロセス)
契約フェーズでは、deelがクラウド上で雇用契約を自動生成し、企業側の負担を大幅に軽減します。
| 項目 | 対応内容 |
|---|---|
| 雇用契約 | deelが締結(現地法人設立不要) |
| 労働条件・給与設定 | クラウド上で定義し、自動で各国法に準拠 |
| 契約書対応言語 | 対象者の言語に対応し、法的リスクを最小限に抑制 |
| 労務・税務・保険対応 | deelが現地で代行、企業側に法的責任は発生しない |
入社準備と就労開始後の運用支援
オンボーディングから日々の労務管理、退職手続きまで、一連の運用をdeelが代行します。
支援内容の一例:
- 入社前:書類準備・口座開設・本人確認などをdeelが対応
- 入社後:給与支払、税務処理、福利厚生の提供を月次で自動処理
- 法対応:法改正や規制変更も自動で反映(Compliance Hub活用)
- 退職時:現地法に則った解雇や手続きもdeelが代行
業務の煩雑さや法的リスクを軽減しながら、スムーズに外国人材の就労を進められる運用体制を構築できます。
EOR導入の流れと費用イメージ
EORは、導入のプロセス自体がシンプルであり、コストの見通しや将来の事業展開に直結する料金モデル・法人化移行支援が重要な検討ポイントとなります。
費用モデルの特徴
EORの料金体系には、従業員の給与額に応じて変動する従量制と、一定額を支払う固定制があります。
月額固定料金制のEORを選択すれば、海外展開時のコスト予測が容易になり、計画立案や経費管理を安定させることができます。
一部のEORプロバイダーは給与から一定割合を徴収する仕組みを取っていますが、従業員数や給与が増えると負担が増大する仕組みです。
そのため、Deelのように月額固定料金を採用するモデルの方が、長期的な運用に適しているといえるでしょう。
法人化への移行支援
EORは「一時的な外部委託」ではなく、将来的に自社法人を設立する際の橋渡し役としても機能します。
法人化への移行支援を行うEORを利用することで、新興市場ではEORを活用し、主要市場では自社法人を設立するという展開が可能です。
Deelは登記業務や従業員の退職プロセスを支援し、EOR利用から自社法人への円滑な切り替えを実現しています。
他手段との比較と使い分け
外国人採用を進める際には、EOR以外にも複数の選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合ったモデルを選ぶことが重要です。
| 採用モデル | 特徴 | 適するケース |
|---|---|---|
| EOR(雇用代行) | 現地法人なしで雇用可。労務・税務を代行。 | スピード重視で海外展開を進めたい企業 |
| PEO(国内代行) | 国内に法人を持つ場合に、労務業務をアウトソース。 | 日本法人を持ちつつ外国人採用を進めたい企業 |
| 派遣 | 契約は派遣会社。短期・即戦力人材に適用。 | 一時的な人員補強が目的の場合 |
| 現地法人設立 | 法人設立後に直接雇用。コスト高・時間長。 | 長期的な海外拠点運営を見据える企業 |
| AOR(業務委託) | フリーランス・請負契約ベース。 | 特定プロジェクトや短期業務に限定する場合 |
表のとおり、EORはスピードと法令順守の両立を実現できる手段ですが、常に最適解とは限りません。
短期的なプロジェクトなら派遣や請負契約のほうが適し、長期的に拠点を持つなら現地法人設立が不可欠です。
PEOは国内法人がある企業に限定されるため、グローバル進出前後での活用余地が分かれます。
企業が求めるのは「海外人材をどのスパンで、どの規模で確保したいか」に応じた柔軟な選択です。EORを基軸にしながらも、他の手段との組み合わせを検討することで、採用リスクを抑えつつ持続的な体制を構築できます。
雇用以外の外部人材活用
雇用契約ではなく、業務委託やフリーランスとの契約で人材を活用するケースも増えています。ただし、従業員と請負契約者の区別が不明確な場合、誤分類リスクが発生し、罰則や追加税負担を招く可能性があります。
EORを利用すれば、契約者のステータスを正しく分類し、法的リスクを回避できます。プロジェクト単位の人材確保と、長期的な雇用モデルの住み分けを意識して使い分けることが大切です。
EOR事業者の選び方:日本企業向けチェックリスト
EOR(雇用代行)は外国人採用を効率化する強力な手段ですが、事業者選定を誤ると費用や運用で大きな差が出ます。日本企業向けに重視すべき評価項目を整理しました。
| 評価項目 | 解説 |
|---|---|
| グローバル展開力 | 対応国の数だけでなく、現地専門家が配置されているかが重要。 |
| 料金モデルの透明性 | 月額固定制か従業員給与割合課金かを確認。固定制なら長期的に安定。 |
| 技術基盤(プラットフォーム) | 人事・給与・労務を一元管理でき、既存システムと連携可能か。 |
| セキュリティと機密性 | GDPR準拠や暗号化など国際基準を満たしているか。 |
| サポート体制 | 専任担当や専門家アクセスの有無を確認。 |
EOR選定では、単に対応国の数ではなく現地専門家による法務対応力を確認することが欠かせません。
料金体系は給与割合課金ではなく、予算が読みやすい月額固定制が望ましいでしょう。
さらに、既存システムと連携できる技術基盤や国際基準に準拠したセキュリティを備えているかを重視すべきです。
加えて、専任担当者や有資格専門家のサポートがあるかどうかが安心して導入できるかを左右します。
EOR活用で、外国人採用課題の解決へ
複雑な手続きやリスク管理を専門のパートナーに任せることで、人事・経理部門は本来注力すべきコア業務に専念できます。
EORは単なる外注ではなく、企業の競争力を高めるための戦略的投資です。
担当者が直面する「3つの壁」と、その乗り越え方
- 1.「いつ入社できるか分からない」というスケジュールの壁
- 課題
在留資格の申請・審査には時間がかかり、事業計画が立てにくい。 - 解決策
採用プロセスには3ヶ月〜7ヶ月を要すると予め認識し、関係部署と共有しましょう。不測の事態に備え、スケジュールには余裕を持たせることが鉄則です。
- 課題
- 2.「法律や手続きが複雑すぎる」というコンプライアンスの壁
- 課題
在留資格のルールや労働法など、専門知識が求められ、違反すれば企業罰則のリスクがある。 - 解決策
「日本人と同じ待遇」が絶対原則です。給与や労働条件で不利な扱いをすることは法律で禁じられています。不明な点は専門家への相談をためらわないでください。
- 課題
- 3.「採用後の管理が大変」という運用の壁
- 課題
給与計算や税務処理、社会保険の手続きが国ごとに異なり、人事・経理部門の負担が増大する。 - 解決策
雇用手続きと労務管理を専門家に任せるEOR(雇用代行)が有効な選択肢です。Deelのサービスを使えば、企業は採用活動と事業の成長に集中できます。
- 課題







