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コスト比較: EOR vs. 現地法人設立
雇用主記録
グローバル採用

著者
Deel Team
公開日
19 12月, 2023
最終更新日
31 1月, 2025

ポイント
- 現地法人を設立する場合、初期費用と継続的な管理費用に投資する必要があります。
- EORサービスを利用することで、国際的な従業員をより簡単かつ予測可能なコストで雇用できます。
- Deelを利用すれば、自社法人、EOR、独立契約者のいずれを利用していても、全従業員を一元管理できます。
グローバル展開を進める際、多くの戦略的意思決定が必要ですが、その中でも国際的な人材をどのように雇用するかは最も重要な課題の一つです。EORを利用するか、自社で現地法人を設立して直接雇用するかの選択肢があります。 通常、この決定はコストに基づいて行われます。 現地法人を設立する場合、法務、コンプライアンス、ガバナンス、行政手続き、業界特有の要件などにより、多大な費用が発生します。一方、EORサービスプロバイダーを利用する場合、既存の法人を活用できるため、よりコスト効果が高い場合があります。 以下では、グローバル展開に関連する典型的なコストと、EORを利用する場合と現地法人を設立する場合の違いを詳しく見ていきます。
免責事項: 本記事は情報提供のみを目的としており、法的または税務的アドバイスを構成するものではありません。行動を起こす前に、専門家に相談してください。
初期費用
海外法人を設立際に初期費用が必要になります。これには、登記費用、設立費用、法務/経理/総務/海外進出のエキスパートの採用及び雇用費用、そして最低資本金要件を満たすための準備金が必要となります。
また、間接的なコストとして、 海外法人撤退時におけるバーチャルまたは物理的オフィスの閉鎖費用、書類の立法や翻訳費用、公証人費用、郵送費用、知的財産権(IPR)関連費用、法人秘書業務費用などが挙げられます。これらの要件は、特にスタートアップや予算に制約のある企業にとって、大きな財務的ハードルとなる可能性があります。
EORサービスの費用はプロバイダーによって異なりますが、法人設立費用が不要となるため、初期費用を低く抑えることが可能となります。その代わり、EORプラットフォームでは、従業員一人当たりのサービス料が発生します。この料金は、事業構造や規制要件によって変動する法人管理費用よりも、予測しやすい傾向があります。
コンプライアンス費用
法人のコンプライアンス管理には、法規制の変更に対応するため、法務相談やその他の対策への継続的な投資が必要です。その責任は企業に明確に課せられるため、社内の専門家や外部委託した専門家の監督が必要となりますが、その費用は1時間あたり数百ドル、または月額で数千ドルに及ぶリテイナー契約が発生することがあります。
EOR(エンプロイヤー・オブ・レコード)は、クライアント企業に組み込み型のコンプライアンス管理機能と社内専門知識を提供します。Deelでは、法務の専門家を含むサポートがあり、プロアクティブなアプローチを採用しています。これにより、コンプライアンスリスクやそれに伴う罰金・法的ペナルティを軽減します。一般的に、コンプライアンスを維持する費用の約2.71倍ものコストが違反に伴う罰金やペナルティにかかるため、EORの利用は効果的なリスク軽減策となります。
管理費および運営費
新しい従業員をサポートするためには、HR(人事)、財務、コンプライアンス、監査、法務の各チームが必要になります。これらのチームは、従業員管理や財務運営、規制遵守、リスク管理など、事業運営の重要な側面を支える役割を果たします。
自社で法人を設立する場合、給与計算、人事、従業員福利厚生などを担当する専任スタッフを採用し、育成することで、内部チームを構築できます。この方法を選ぶと、人事や給与計算プロセスを直接管理することが可能になりますが、チームの育成に時間とリソースを投資する責任も伴います。
このようなチームを自社で編成・管理することは、かなりのコストが必要になる可能性があります。例えば、カナダでは従業員数が500人未満の企業が、1人あたり平均1,289カナダドル(CAD)を人事関連の費用として支出しており、これは経理スタッフを含まない金額です。従業員300人のチームの場合、その費用は386,700カナダドルに達します。詳しくはこちら。
一方で、これらの業務を現地の社労士事務所や給与計算プロバイダーに外部委託する選択肢もあります。この方法は時間の節約にはなりますが、各地域に新たな法人を設立するたびに新しいプロバイダーを見つける必要があるため、追加のリソースや投資が求められる点には注意が必要です。
グローバルEORと提携することで、採用人数を抑え、既存のチームにかかる管理負担を軽減できます。また、複数のHRや給与システムを管理する必要がなくなり、効率的に事業を拡大することが可能になります。
柔軟性と拡張性
EORソリューションは、法人設立の負担を伴わずにグローバルな事業拡大や新規市場への進出を試みる企業に、最大限の柔軟性を提供します。
例えばフランスを例に挙げてみましょう。フランスに法人を設立する際には、雇用する従業員に対して一生涯にわたり年金を支払う義務が生じます。これは非常に大きな負担となります。一方で、EORは、法人設立をする前に新しい市場をテストし、その市場が成功するかを確認してから法人設立に投資するという選択肢を提供することが可能になります。
—スティーブ・ホフマン,
シニア戦略的パートナーシップマネージャー
EORを利用することで、迅速な海外法人の設立が可能になり、企業は法的および行政手続きによる遅延や影響を受けることなく本来の業務に集中することが可能になります。例えば、イギリスで従業員を雇用するために法人を設立する場合、通常1か月程の時間が必要になりますが、DeelのEORを利用すれば2日で雇用を開始することができます。"
Deelはオールインワンプラットフォームとして、企業のあらゆる成長段階をサポートします。EORモデルを活用して従業員を雇用したり、独立契約者を採用したり、法人を設立してグローバル給与を運用したりと、すべてを1つのプラットフォーム上で管理することが可能です。
撤退費用
海外法人を撤退する際には、長期にわたる法的手続きや財務的な影響が伴うため、撤退戦略は長期的な計画において重要な要素となります。例えば、イギリスにて法人を撤退する場合、準備作業を除いても最低3か月は必要です。
法人を解散する際の正確なコストは、以下のようなさまざまな要因によって異なります:
- 既存契約の期間
- 解散までの手続き方法
- 未払い債務や負債
- 従業員の処遇
- 借金や未払金の状況
- 株主またはメンバー構造
これらの要素が総合的にコストに影響を与えます。
一方で、EORの契約を終了する場合は、より簡単でスムーズです。EORを利用することで、法的な複雑さが軽減され、撤退コストも比較的低く抑えられる可能性があります。さらにDeelを利用すれば、プロバイダーを変更することなく、EORから他のサービスへの移行をスムーズに行うことができます。このプロセスは非常に効率的に進められるよう設計されています。
リスクマネジメント
海外法人を設立する場合、コンプライアンスや法的リスクの管理責任が自社に課されます。これには、リスク管理戦略の策定や、現地および国際規制に関する深い理解が必要です。適切な計画と知識がないと、法的トラブルやコンプライアンス違反のリスクが高まる可能性があります。
EORを利用して優秀な人材を雇用する場合、EORが従業員の法的な雇用主となり、企業は日常的な管理責任を引き続き担います。この共有モデルにより、リスクが分散され、企業が法的および規制の複雑な状況を単独で対処する負担が軽減されます。
ClaraがDeelのEORで毎月数千ドルを節約する方法
Claraは、法人向けクレジットカード、決済ソリューション、デジタル経費管理プラットフォームで構成された包括的なソリューションを提供し、事業経費の管理を簡素化しています。
Claraは、パンデミック中のバーチャルかつリモートワーク環境で設立されました。創業当初から「優秀な人材は場所に縛られない」という信念を持っており、その柔軟性を保ちながら、複雑な手続きなしで実現できるソリューションを必要としていました。
Deelを活用することで、Claraは大規模なコスト削減の可能性を実現しました。ClaraのグローバルピープルディレクターであるCarolina Astaiza氏は、次のように説明しています:
「グローバル給与を管理するには、最低でも各国ごとに1つのソフトウェアと1人の協力者が必要で、平均すると月額約2,000米ドルのコストがかかります。しかし、Deelを利用することで、追加コストなしで人材を採用できるため、スケールメリットをもたらしてくれます。」と彼女は述べています。「さらに、この2,000米ドルは固定費ではなく、事業が拡大するにつれて金額も増加します。」
Deelを利用することで、Claraの運営コストは事業が成長しても変わらず、急激な費用増は発生しません。
コスト比較: 自社法人設立 vs. EORサービス
EORを利用して従業員を雇用する企業は、自社で海外法人を設立する必要がないため、海外法人設立費用を支払う必要がありません。一方、自社で海外法人を設立する場合、そのコストは設立する地域、従業員数、コンプライアンス要件などにより異なります。
以下は、イギリスに法人を設立する場合とEORを利用する場合の雇用主コスト(USD)の推定値です。
Cost Category | Min (Entity) | Max (Entity) | Min (EOR) | Max (EOR) |
---|---|---|---|---|
登記費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
拡張専門家によるセットアップ費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
法務費用 | $0 | $0 | $0 | $0 |
法人設立のための法務顧問の雇用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
書類作成の費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
署名および公証の費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
公印確認(Apostille)の費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
宅配便(Courier)の費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
法人設立のための法的代理人の費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
雇用契約 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
必要最低限の資本要件 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
会計士費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
保険の設定(調査、選択、契約書への署名) | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
政府当局への雇用主としての登録 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
VAT登録の費用 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
銀行法人口座の開設(調査、選択、提出書類、KYCプロセス) | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
銀行口座への資本注入 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
従業員福利厚生制度の設立 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
実体構造に関するアドバイス | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
法人住所の設定 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
税務構造に関するアドバイス | $3,000 | $6,000 | $0 | $0 |
法人設立の総コスト(初期費用) | $22,000 | $63,000 | $0 | $0 |
注意事項: これらのコストは、雇用主や従業員のニーズに応じて変動する可能性があります。たとえば、従業員が雇用契約や労働法について質問した場合、追加の法務費用が発生することがあります。
継続的なグローバル給与管理の費用
海外法人を設立した後も、新しい従業員を雇用し、グローバルな人材を拡大するにつれて、追加の継続的なコストを負担する必要があります。以下は、イギリスの企業が直面する可能性のあるコストの推定例です。
Cost Category | Min (Entity) | Max (Entity) | Min (EOR) | Max (EOR) |
---|---|---|---|---|
法人税 | 29.05% | 29.05% | $0 | $0 |
各国で給与管理者を雇用し福利厚生を管理するためのコスト | $50,000 | $50,000 | $0 | $0 |
雇用保険料(保険、年金、社会保障など) | 13.00% | 13.00% | 13.00% | 13.00% |
取締役/管理職の代表権 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
健康診断 | $0 | $0 | $0 | $0 |
郵送先住所 | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
従業員の退職手続き | $3,000 | $6,000 | $0 | $0 |
トレーニング:健康と安全について | $0 | $0 | $0 | $0 |
従業員の入社手続き | $1,000 | $3,000 | $0 | $0 |
従業員の給与支払いは、現地の法律を遵守するために期限内に行われます。 | $0 | $0 | $0 | $0 |
EOR年間サービス料金(従業員1人あたり) | $0 | $0 | $7,188 | $7,188 |
年間の総給与管理費用 | $56,000 | $65,000 | $7,188 | $7,188 |
海外法人を設立する場合の推定費用は合計で78,000ドルから128,000ドルの範囲となる一方、EORを利用する場合の推定費用は7,188ドルです。
EasyBrokerがDeelを利用して採用することで手数料を52%削減した方法
EasyBrokerは、デジタル最適化、カスタマイズ可能なデザイン、高度な検索機能などを活用し、住まいの購入や賃貸を簡単にし、新しい家を見つけるために必要なすべてを提供します。
アメリカの企業であるEasyBrokerは、メキシコでの採用にアウトソーシングサービスを利用していましたが、2020年に施行された雇用法により、このプロセスがより困難になりました。長時間かつ面倒で官僚的な採用、入社手続き、退職手続き、給与支払いなどのプロセスを経験した後、彼らはグローバルな解決策を探すことを決定しました。
「以前は新しいチームメンバーの入社手続きに2週間かかっていましたが、Deelを利用することで、そのプロセスが2時間以内に完了するようになりました」と、オペレーションおよび人事コーディネーターのロドリゲス・レオン氏は述べています。「給与支払いプロセスも、以前は3~4日かかっていましたが、Deelでは10分で完了します。さらに、ボーナスもワンクリックでアップロードできます。このプラットフォームは採用と支払いの両方において使いやすく、コストパフォーマンスの高さも魅力的でした。」
Deelの使いやすいプラットフォームを活用することで、EasyBrokerはプロセスを簡略化し、手数料を52%削減、入社手続きの時間を50%短縮しました。
Deel EORで、すべての法人を一元管理
Deelはオールインワンプラットフォームとして、複数の国における現地の労働法、税制、HR要件へのコンプライアンスを効率化し、グローバルチームにおける法的および規制上の複雑さの負担を軽減します。
DeelのEOR料金体系は月額599ドルから始まり、以下が含まれます:
- 現地の給与サービス、福利厚生管理、税務、コンプライアンスの対応
- それぞれの市場に合わせた競争力のある福利厚生パッケージ
- 現地のHRおよび法務専門家によるサポート
- HRや財務などに対応した20以上の統合機能
私たちは単なるEORではありません。ほぼすべてのニーズに対応するソリューションを提供しています。単に給与を支払うだけでは十分ではありません。従業員がどこにいても、自社で直接雇用された場合と同じような体験を提供できることが重要です。それが、Deelで実現していることです。
—カミーレ・モウラン・カヴァルカンチ,
シニアマネージャー、グローバルモビリティ
クライアントがEORモデルから自社法人設立に移行する際、Deelは法人設立サービスやグローバル給与サービスを通じて引き続きサポートを提供することが可能です。クライアントは、EORモデルを一部の地域で利用し、他の地域ではグローバル給与サービスを活用するなど、必要に応じて複数のDeelサービスを柔軟に組み合わせることができます。また、独立契約者の採用にも対応しています。
専門家と選択肢について相談するには、ぜひ本日30分間のデモを弊社チームとご予約ください。